住所は東京だけど、東京のイメージとは全く違う。青い海と豊かな自然に囲まれた「小笠原諸島」は、その知名度の高さに反して訪れたことのない人が多い場所と言えます。2011年、世界自然遺産にも認定された島ならではの自然や生き物、そして文化は、実際に足を踏み入れなければ実感できないことばかりです。今回は父島を中心に、母島、南島のおすすめスポットをご紹介いたします。

小笠原諸島って、ウミガメが見られるんだよね。

そうそう、一度でいいから見てみたいよね!

でも遠いからなぁ。

移動手段が限られているからね。でもそれ以上に魅力的な島々だから、まずは調べてみようよ!

まずはココから。小笠原諸島ってこんなところ!

東京から約1,000km先にある、大小約30の島々からなる小笠原諸島。硫黄島や沖ノ鳥島がニュースなどで話題になりますが、実際に人が住んでいるのは父島と母島のみとなります。アクセスは東京の竹芝桟橋からだいたい6日に1便出ている父島への定期船のみで、到着まで約24時間かかります。空港が無いため、飛行機では行けません。 移動時間としては長く感じるかもしれませんが、乗り換えも無くずっと船に乗っていられるので、竹芝桟橋を出港した時から小笠原諸島へと心は旅立つことができます。父島を出港しても、竹芝桟橋に到着するまでは余韻に浸っていられますよ。
小笠原諸島は年間を通して温度差は少なく、夏も冬も比較的暖かく過ごすことができます。東京本土より紫外線が強いので、天気や四季を問わず日焼け止めやラッシュガードの用意を忘れないでくださいね 。生活用品や食料品など、島の物資も週に一度の定期船で届きます 。在庫切れも出てきますので、粉ミルクなどの生活必需品は必ず多めに用意して 行きましょう。
世界自然遺産である小笠原諸島では、「遊歩道以外のルートを歩かない」「全島キャンプ禁止」など独自のルールやガイドラインが定められています 。豊かな自然を守るため、みんなで節度とルールを守って楽しみましょう。

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ボニンブルーが美しい、安心安全なビーチで遊ぶ

父島 ジーニ海岸

小笠原諸島の海は透明度が高く、深い青色が印象的でマリンレジャーにピッタリです。この小笠原ならではの美しい海の色を「ボニンブルー」と言います。「ボニン」とは小笠原諸島のことで、小笠原諸島が発見された江戸時代、「無人島(ぶにんじま)」と呼ばれていたことに由来します。「ブニン」が「ボニン」と転じ、今でも小笠原諸島の英名は「Bonin Islands」となっています 。
そんな「ボニンブルー」を体感できる海岸が、父島にはたくさんあります! まずは父島の玄関口、二見港のすぐそばにあり、「前浜」と親しまれている「大村海岸」へ。芝生の広場の向こうに広がる穏やかな海。海水浴やサーフィンを楽しむ人も多く 、島民の憩いの場にもなっています。二見港を挟んで「大村海岸」の対面にある「扇浦海岸」 も、海水浴をする家族連れで賑わうビーチです。白い砂浜が美しく、夕陽スポットとしても高い人気 を誇っています。どちらもトイレ、シャワー完備の休憩所やレストハウスがあるので安心ですよ。続いて、兄島を眺める弓なりの海岸「宮之浜海岸」 は、波打ち際からサンゴ礁が広がるダイビングやシュノーケリングに人気のスポットです。カラフルな熱帯魚に交じって、ナンヨウブダイやタテジマキンチャクダイなど大型の魚も見られます。ただしブイの外は潮が早いので、沖に出ないようにしましょう。

 

特色豊かな海岸でマリンレジャーを楽しもう

父島 ジーニ海岸

父島で楽しめるのは、海水浴やシュノーケリングだけじゃありません。釣り好きにうってつけの浜、その名も「釣浜」 があります。古くから釣りの名所として知られるとてもきれいな海ですが、潮の流れが速いので単独での遊泳は禁止されています。最短で500mほどの距離にある兄島までも泳いで行けそうですが、厳禁ですよ!
野生動物の多い、まるで楽園のような父島にも、太平洋戦争の影響を色濃く残している海岸があります。サンゴが付き、魚礁となった沈没船の船体が見られる「境浦」。船は1944年に魚雷攻撃を受けた濱江丸です。戦争の爪痕と美しい魚たちのコントラストが珍しく、シュノーケリングに訪れる人が多いビーチになっています。
シュノーケリングの名所といえば、昔、ギルバート諸島出身のコペペさん が住んでいたことから名前が付いた「コペペ海岸」も人気です。波打ち際からすぐにサンゴの群生があり、「小笠原諸島随一の海水浴場」 と言われる「小港海岸」まで海中看板をたどって泳いで行く こともできます。「小港海岸」は陸地から行くと、防風林の先に真っ白な砂浜 が広がる開放的なビーチで、素足で泳ぐことができるんですよ。どちらのビーチも星空が美しく、環境省の「全国星空継続観察」にて「日本一の星空が見える場所」に選ばれた こともあります。星座盤片手に、スターウォッチングはいかがですか?
父島にはトレッキングやカヤックじゃないと行けないビーチもあります。観光客が少ないので、苦労して辿り着いた先に広がる絶景を独占することができますよ。まず、海上からしか行くことができない「ジニービーチ」は、島の南西端に位置する真っ白なパウダーサンドのビーチです。ボートやカヤックでしか上陸できませんが、沖は潮の流れが速いので十分注意して移動しましょう。「ジニービーチ」のすぐそばにある「ジョンビーチ」は、陸路トレッキングでも行くことができます。小港から往復約9km、徒歩で往復約4時間半かかる上に、途中に売店やトイレはありません 。海からカヤックなどで行くこともできますので、体力とも相談して向かいましょう。

 

海岸だけじゃない! 父島のおすすめスポット

ハートロック

父島の魅力は、ビーチだけじゃありません。二見港を一望できる「旭山」 もその一つ。遊歩道が続いているので、約30分で山頂まで登ることができます。北には兄島、南に南島、そしてボニンブルーの二見湾の絶景が広がります。兄島をもっと近くに見るなら、「長崎展望台」がおすすめです。兄島と父島の間を流れる「兄島瀬戸」の潮流まで見ることができます。展望台右下の方に見える長崎トンネル周辺の崖は海底火山の噴火によってできた「枕状溶岩」で 、父島列島が海底火山活動によって誕生したことを表しています。 そして展望台といえば、島の西側にあり、夕陽のスポットとして人気の「ウェザーステーション(三日月山展望台)」 も外せません。潮騒をBGMに太陽が水平線に沈んでいく様子、ボニンブルーの海がだんだんと赤く染まり、空に星が輝きだす景色はまさに圧巻! スターウォッチングのスポットとして、また、沖合にクジラが見られることもあり、陸上からホエールウォッチングができる 場所としても有名です。
島内には、島独自の進化を遂げた固有植物がたくさんあり、林野庁の定めた「森林生態系保護地域」となっている場所がたくさんあります。この地域に認定された森や山へ入る時は、入林許可を受けたガイドさんに同行してもらわなくてはいけません 。そんな保護地域の中でも、人気のスポットとなっているのが「ハートロック(千尋岩)」です。島の南側、円縁湾に立つ断崖絶壁で、海から見たときにハート型に見える赤い岩肌が特徴です。陸路では、ガイドさんと行くトレッキングツアーに参加しましょう。森を抜けて巨岩の上に到達すると、ボニンブルーの海が一面に広がります。晴れた日は南島や母島も見られますよ。
アオウミガメをはじめ、小笠原の海の生き物について 知りたいなら「小笠原水産センター」がおすすめです。都の水産試験施設として魚の研究や資源保護などを行っている施設ですが、飼育観察棟を「小さな水族館」として開放しています。ダイビングなどとは違う目線で小笠原の海の生き物が見られ、餌をあげる様子が見られることもあるので、気になる方は問い合わせてみてください。

【小笠原水産センター】
公式URL:https://www.soumu.metro.tokyo.lg.jp/07ogasawara/fish/
開館時間:8:30~16:30
休館日:無休(水槽の掃除などで一部の水槽見学ができない日もあります)
入館料:無料

小さな無人島「南島」ではルールを守って!

南崎

父島の南西沖にある小さな無人島「南島」。ウミガメが上陸して産卵をしたり、貴重な固有植物が自生していたりと、南島ならではの環境が広がっています。この環境を守るため、島外から天敵や卵などの上陸を防ぐため、上陸するには南島利用ルール遵守事業者の東京都自然ガイドの同伴が必須です。「上陸する際、土を落とすために靴底を海水で洗う」「島には何も持ち込まず、何も持ち帰らない」などのルールを必ず守りましょう。南島は1日当たり最大100人しか上陸することができず、ガイド一人が担当できる利用者は15人までと決まっています。シーカヤックなどで上陸することができますが、最大でも2時間しか滞在できません。植生回復のため、例年年末年始を除いた11月上旬から2月上旬まで入島禁止期間があります。
そんな南島は、石灰岩特有のくぼ地や尖った岩などに覆われた島です。一番人気のスポットは、観光パンフレットにもよく登場する「扇池」です。抜群の透明度を誇る青い海に白い砂浜。入り江が天然のプールとなり 、最高の海水浴が楽しめます。ウミガメの産卵シーズンには、ウミガメの足跡も見ることができますよ。美しい景色にテンションが上がること間違いなしですが、必ずルールを守って楽しみましょうね。

父島からでも約2時間! 「母島」は「日本一遠い島」

母島小富士からの眺望

せっかく父島まで来たなら、ぜひ母島までも行ってもらいたい! 母島固有の動植物や景色に触れられ、一層深く小笠原諸島を体感することができます。父島から母島までは、船で約2時間です。
母島を訪れたら、まず行きたいのが最高峰「乳房山」です。遊歩道が整備されているので、ガイドなしで一周することができますよ。約4時間の散策中 には、「ハハジマノボタン」などの固有植物やここにしか生息していない特別天然記念物の鳥 「ハハジマメグロ」 を見ることができます。2019年7月から一部通行止めの所があります ので、現地で必ずご確認くださいね。
一方、「人が住んでいる場所で日本一早く日の出が見られる」と知られているのが「小富士」です。日本の最南端にある山で、頂上からはサンゴ礁が広がる「南崎」の絶景が見られます。「南崎」はたくさんの熱帯魚が見られるシュノーケリングの人気スポットの一つです。ただし、沖は潮の流れが急なので、気を付けましょう。特に潮の満ち引き時間は沖に出ること厳禁 です。南崎の先には、白い砂浜の幻のビーチ「蓬莱根海岸」があります。熱帯魚の群れが集まる透明度の高い海は、シュノーケリングに最高の環境です。それがなぜ「幻」と言われるのか。それは干潮時にしか陸が繋がっていないからです。干潮時でも磯歩きは危険を伴うため、5分ほどの距離を泳いで向かうことがおすすめされています 。
シュノーケリングのメジャーなスポットとしては、母島の北側にある「北港」も有名です。玉砂利の海岸にサンゴ礁が広がる幻想的なビーチで、駐車場とトイレも完備されています。「北港」は戦前、約600人が生活する集落でした。 南に少し行った先には、旧日本軍が設置した大型の探照灯が残っている「探照灯基地跡」があります。長い年月を経て残骸と化しています が、戦時中に思いを馳せる空間となっています。一方、海軍施設跡などが残る「静沢の森遊歩道」の入口周辺 は、母島を代表する夕陽スポットです。太陽が完全に沈む直前、一瞬だけ緑色に光るグリーンフラッシュ現象が見られることもある「サンセットシアター」 、ぜひ足を運んでみてくださいね。

魅力溢れる小笠原諸島、ぜひ行ってみよう!

なんとなく「父島」観光とマリンレジャーを考えていたけど、いっぱいやりたいことができちゃった!

ガイドツアーも豊富だから、昼は南島探索、夜はスターウォッチと組み合わせられるね。

時間を持て余しちゃうかと思ったのに、むしろ足りないかも。

島時間で小笠原諸島を満喫しよう!

小笠原諸島は島ならではの独自の自然環境が広がっています。この自然を永遠に残すため、島のルールは必ず守りましょう。ガイドツアーを予約することで、より安全に、より詳しくアクティビティを楽しむことができますよ。6日に一度しか本土と結ばれていない小笠原諸島。ゆっくり流れる島時間の中で、体も心もリフレッシュできること間違いなしです!

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TRIPin事務局

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